はたらく仲間東京編

自分に合う働き方って、
ちゃんとあるんだと、
思えたんです。
現在は、主にPCを使ったデータ入力や書類管理などの業務に取り組む岩﨑さん。現在は、自分のペースで集中できる環境の中で、日々の業務に向き合っています。かつては「自分に合う仕事が分からない」と感じていた時期もありましたが、就労移行支援での経験を通して適性を見つめ直し、今の働き方にたどり着きました。そこに至るまでの迷いや気づき、そして仕事に向き合う中での変化について伺いました。
自分に向いていないかもしれない、
と感じたんです。

前職ではどんなお仕事をされていたんですか?
前職ではコンビニエンスストアで働いていました。接客を通して学ぶことも多く、最初はやりがいも感じていたんですが、4〜5年ほど続ける中で、少しずつ「自分には向いていないのではないか」と思うようになりました。忙しさや臨機応変な対応が求められる場面が増えていく中で、その一つひとつに対応していくことが、自分の中では負担として積み重なっていった感覚がありますね。
もともとコミュニケーションに苦手意識もあって、続けるほどに違和感ははっきりしていきました。頑張ればできるというより、続けるために無理を重ねている状態だったのかもしれないですね。その感覚に気づいたことで、一度立ち止まって働き方を見直そうと思い、就労移行支援に通うことを決めました。
就労移行支援では、どんな気づきがありましたか?
いろいろな訓練を受ける中で、自分は一人で黙々と作業する方が集中できるタイプなんだと分かってきました。周りに気を配り続けるよりも、目の前の作業に意識を向けられる環境の方が、無理なく取り組めるんですよね。
できるかどうかではなく、続けられるかどうか。その視点で考えるようになってから、事務職を目指す方向が自然と見えてきました。企業を探していく中で阪和興業と出会い、特例子会社を目指しているという話を聞いたときに、これから環境が整っていく段階にあることに魅力を感じました。整っている場所に入るというより、その途中に関われることの方が、自分にはイメージしやすかったんだと思います。


うまくいかないことから、
やり方が見えてきました。

今はどんなお仕事をされているんですか?
現在はデータ入力やスキャン業務、郵便物の仕分けなどを担当しています。日によって業務内容が変わるので、締め切りを確認しながら優先順位をつけて進めています。
もともと同時に複数の業務を進めるのがあまり得意ではなくて、一つの業務を終えてから次に進むようにしています。そのために、月単位で業務の流れを整理して、あらかじめスケジュールを組んでおくようにしています。そうすると迷う時間が減って、目の前の作業に集中できるんですよね。進め方を整えることで、結果的に仕事全体が安定してきた感覚があります。


印象に残っている業務はありますか?
ささいなことかもしれませんが、スキャン業務は、変化を実感しやすかった仕事ですね。最初は紙が詰まったり、うまく読み込めなかったりして、思うように進まないことが多かったです。その都度、原因を確認しながら設定を変えたり、やり方を調整したりしていきました。
一度にまとめて処理するのではなく、分けて進める方がうまくいくと分かってからは、だいぶ安定してきました。そういう試行錯誤を重ねる中で、少しずつスムーズに進められるようになって、気づけば得意な業務の一つになっていました。
最初から得意だったわけではなく、自分に合うやり方を見つけていった感覚に近いですね。うまくいかないことがあっても、「自分に合っていない」とすぐに切り離すのではなく、やり方を変えれば続けられるかもしれないと思えるようになったのは、この仕事がきっかけだった気がします。
一人で進めているようで、
そうではありませんでした。

やりがいを感じた経験はありますか?
世界中のタイヤ工場をマッピングする業務は印象に残っています。仕事の依頼主である、阪和興業の事業の中で扱われる商材や取引先は国内外に広がっていて、その情報を整理する一環として取り組んだ仕事です。上司と一緒に進め、半年ほどかけて完成させました。
情報を整理しながら形にしていく作業だったんですが、完成後に関係部署から評価の言葉をいただき、自分の仕事がその先にもつながっていると実感しました。
それまでは、自分の担当業務をきちんとこなすことに意識が向いていたんですが、この経験を通して、その先でどう使われるのかを考えるようになりました。同じ仕事でも、誰かの役に立っている実感があると、向き合い方も少し変わってくる気がしています。


働く環境についてはどう感じていますか?
日々の業務は一人で進めることも多いですが、実際には相談員や出社メンバー、テレワーカーの方々と連携しながら進めています。Teamsなどでやり取りをしていて、分からないことがあれば相談できる環境があります。
進捗が分かりづらい業務についても、相談をきっかけに管理方法を見直して、リスト化することで整理できるようになりました。一人でやっているように見えて、実際には支えられている部分が大きいなと感じています。そういう関係性があることで、無理なく続けられているのかもしれないですね。
今、働く中で感じていることを教えてください。
転職は自分の人生にとって大きな転機だったと思っています。以前は自分に合っているか分からないまま働いている感覚がありましたが、今は無理なく続けられているという実感があります。
仕事をいただいて、それを一つひとつこなしていく。その積み重ねに対して、前向きに向き合えるようになりました。自分に合う働き方は、最初からは分からないものですが、こうして続けていく中で少しずつ形になっていくものなんだと感じています。
COLUMN「正反対のふたりが、
同じ場所で働く理由」

同じ東京オフィスで働く岩﨑さんと井上さん。業務で顔を合わせることはあるものの、ゆっくり話す機会は意外と少なく、今回の座談会はお互いを知るきっかけにもなりました。
仕事の楽しさについて聞くと、二人の答えは対照的です。井上さんは「いろんなフロアに行って人と話せるのが楽しいです」とにっこり。一方の岩﨑さんは「僕はどちらかというと、暇な時間が苦手で…。次々と仕事をこなしていく方が好きですね」と話します。同じ環境でも、心地よさの感じ方はそれぞれのようです。
とはいえ、うまくいくことばかりではありません。井上さんは「会計の細かいところはまだ難しくて」と打ち明け、岩﨑さんも「コミュニケーションで時間がかかることもあります」と率直に話します。それでも、「進捗表を使って整理するようにしていて」と工夫を重ねながら前に進んでいます。
そんな二人が共通して挙げたのは、「理解してもらえる環境」です。「失敗しても、ちゃんと分かってもらえる安心感がありますよね」と井上さんが話すと、岩﨑さんも「それは大きいですね」とうなずきます。そして井上さんは、「こういう環境だと、ハンデに感じなくなるんですよね」と続けます。
得意なことも働き方も違う二人。それでも、それぞれのペースを尊重し合いながら働ける空気が、この職場の魅力なのかもしれません。